8月22日、Twitterのある投稿が話題となりました。
リゾートゲートウェイ・ステーションのBGMセットリストから、
— リゾ鉄_P (@P29294180) August 22, 2022
南部の唄の「Zip-A-Dee-Doo-Dah」が削除されました‼️
この曲の出だしが鳴らずにそのまま「Winnie the Pooh」が流れる違和感がすごい#TDR_now #リゾートライン #リゾラ pic.twitter.com/ZxFkYYFIqK
これは、ディズニーリゾートラインの舞浜駅から一番近いリゾートゲートウェイ・ステーション駅のBGMの様子を撮影した動画です。
この動画のどこが衝撃かというと、ツイートされている通り、Zip-A-Dee-Doo-DahのBGMが削除(カット)されています。
Zip-A-Dee-Doo-Dah(ジッパ・ディー・ドゥー・ダー)とは?
Zip-A-Dee-Doo-Dahは、東京ディズニーランドの人気アトラクション、スプラッシュ・マウンテンで流れています。パーク外でもテレビ番組等の日常で使用されていることも多いので、一度は聴いたことがある方が多いと思います。
もともとこの曲自体は、1946年に公開されたディズニー映画「南部の唄」の中で使用されている挿入歌です。「Zip-A-Dee-Doo-Dah」自体に意味はありません。劇中の1フレーズとして歌っています。
なぜ曲がダメなの?

では、なぜ曲が削除されたりしてしまうのでしょうか。
それは、映画「南部の唄」作品自体に問題があると見える人がいるからです。この作品は、実質廃盤状態となっており、Disney+などのサブスク、レンタルビデオでも視聴できなくなっています。
差別的表現が含まれる?
現代では、差別=悪、みんな平等であるべきだという考え方が一般的ですが、一昔前は、黒人は奴隷という文化が、他国ではありました。
例えば、アメリカでは1865年まで奴隷制度が認められていました。
しかし、南部の唄の作品は1946年。作品はわざわざそのような描写にしたのでしょうか。
舞台は南北戦争後なのに・・・
奴隷制度が廃止となったきっかけの南北戦争。ディズニー側は、「南北戦争後(1870年代)の舞台であり、映画のすべてのアフリカ系アメリカ人のキャラクターは奴隷ではない」と公開前に述べています。
しかし、作品には1870年代と思わせるような表記や情景が表されていなかった為、作品を見た人たちには南北戦争前の奴隷制度が続く南部と誤解されてしまい、設定があまりにも現実からかけ離れており、歴史的事実から逃避していると批判を集めるようになりました。
なお、作品やZip-A-Dee-Doo-Dahの歌詞にはもちろん黒人を軽蔑するような表現はありません。
なぜ作品はお蔵入り状態に?

ディズニーでは、全ての人々が等しく尊重されていると感じられる事を目指すようになり、多様性(inclusion)を大切にする考え方を発表しました。
そのため、決して差別を表している作品ではありませんが、人種差別している!などの誤解を再び招かないようにしたためか、作品自体を削除する動きが出ています。
スプラッシュ・マウンテン

スプラッシュ・マウンテンでは南部の唄をテーマにしたアトラクションであり、現在はアメリカと日本の計3箇所で運営しています。
そのうちのアメリカのディズニーランド(カリフォルニア)とマジックキングダムにあるスプラッシュ・マウンテンを2024年後半にプリンセスと魔法のキスをモチーフにした施設に改装することを発表しました。
つまりスプラッシュ・マウンテンは2024年にアメリカから消滅することになります。
残りの1つ(日本)はどういう対応を取るのでしょうか。
東京ディズニーリゾートでも曲の削除の動きが

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、今まで4つの行動基準を設けておりましたが、新たに1つ(Inclusion)追加しました。
【Safety(安全)】
安全な場所、やすらぎを感じる空間を作りだすために、ゲストにとっても、キャストにとっても安全を最優先すること。【Courtesy(礼儀正しさ)】
“すべてのゲストがVIP”との理念に基づき、言葉づかいや対応が丁寧なことはもちろん、相手の立場にたった、親しみやすく、心をこめたおもてなしをすること。【Show(ショー)】
あらゆるものがテーマショーという観点から考えられ、施設の点検や清掃などを行うほか、キャストも「毎日が初演」の気持ちを忘れず、ショーを演じること。【Efficiency(効率)】
安全、礼儀正しさ、ショーを心がけ、さらにチームワークを発揮することで、効率を高めること。【Inclusion(インクルージョン)】
行動規準「The Five Keys~5つの鍵~」(東京ディズニーリゾート)より引用
さまざまな考え方や多様な人たちを歓迎し、尊重すること。すべての鍵の中心にあり、他の4つの鍵のどれにも深く関わる。
パークは、上記の行動基準(優先順位は昇順になっている(Safetyが1位))を守りながら運営されています。
Inclusionが追加されたことにより、パークも多様性を尊重するようになっています。
また、朝日新聞(記事に飛びます)によると東京ディズニーランドでの対応は検討中ということで、さらに日本でも影響が広がりそうです。
日本では、2022年8月22日にディズニーリゾートライン、リゾートゲートウェイ・ステーション駅で使用されていたBGMの一部(Zip-A-Dee-Doo-Dah)が削除されてしまいましたが、今後もこの影響は広がりそうです。
現在、東京ディズニーリゾート内でZip-A-Dee-Doo-Dahが聴ける場所

2022年8月25日時点で確認されている、東京ディズニーリゾートで聴ける場所は以下のとおりです。
- 東京ディズニーランド「スプラッシュ・マウンテン」
- 東京ディズニーランド エントランス
- ボン・ヴォヤージュ
- JR舞浜駅ホーム
今後、各場所で聴けなくなるかもしれません。聴きに行かれる方はどうぞお早めに!
まとめ
今回は、南部の唄の挿入歌「Zip-A-Dee-Doo-Dah」のパークでの扱いについてご紹介しました。
やはり大人気アトラクションで、多くの方が知る曲なだけに消えていくのは寂しいですね。
多様性も重要ではありますが、ファンのためにも何か現状維持できる方法があればいいですね。
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